報告担当    花刈ジン太















昨日テレビで時代劇ってのを見てたんだ。


そしたらその中で御代官とか言う偉そうな奴が

いかにも胡散臭そうな男に「おぬしも悪よのぅ」と言ってた。

言われた男はあくどい商人らしく、小判をジャラジャラさせて

「滅相もございません」って、ニヤニヤ笑っていやがった。


たいして面白くもない内容だったんだけど、それを見て俺はふと


店長の顔を思い出したんだ。







あ、先に言っとくが悪口じゃないぜ?



だって店長が半端じゃなく強いってのは知ってるし


俺たちにとっては・・・ あ、いやいや何といっても店長だからな。


色々な意味で尊敬はしてるぜ?モチロン


ただチラッと、小判が千円札に見えたって言うか・・・














そうそう、こないだのことだ。

チャラチャラしたおばちゃんが店に来た時の話。


こんな時代遅れで流行ってない店だけどな

たまにあるんだぜ? 若いねーちゃんやおばちゃんが店に来ることが。


最初はソレがどーいう意味なのか、俺にはサッパリだった。

けど、何度もそんなことがあると さすがにわかってきたんだ。



俺ってオトナだからな。



だってそんな時は、決まって店長がシャシャリ出て来るんだ。

普段は接客なんて、誰もしねーのに。






店長がよそいきの声で「いらっしゃいませ」と声をかければ


その女たちは微かにざわつき出す。


当の店長は余裕の笑み。そしてこれ見よがしに


何年前から置いてるのかわかんねぇ 洗剤だとかシャンプーだとかを売りつける。


最初はな、ビックリした。


だってそれが売り物だなんて、俺はモチロン雨すら思ってなかっただろうからな。



そこでちょっと引いたおばさん達には、例のアレをする。

例のアレってのはな、わざとらしく帽子を脱いで「流し目」ってヤツをするんだ。


何が良いのかわかんねぇが、それが店長の武器らしい。



そしてその成功率は高い。



女たちは消費期限のとうに切れた商品を抱えて、喜んで帰って行くのさ。





そしてお客さんが帰った後に店長は


「あーこれで在庫整理が出来ましたねぇ」と


清々しい顔で言い、うちのレジには珍しいお札をひらひらさせながら



「やー今日は儲かっちゃいましたぁ」 


そう言ったんだっけ。




ほらな? 

例の時代劇の商人とかぶっても仕方ねぇだろ。







俺から見れば どー見てもただのオヤジで


そしてほんのちょっぴり、ホントにちょっぴりだけど、性格も良くは無い。






店長の魅力って何なんだ。 

子供にはいや、男にはわかんねぇのかな。

誰かに聞いてみようと見回したけど、店の中には雨しかいねーし

ま、一応女だからと聞いてみる。




「おーい、雨」



「なぁに、ジン太くん。あ、お掃除さぼっちゃ・・」


「いーんだよ、うっせぇなー。後でやるから! 
それより、雨は店長のことどう思ってんだ? なぁ、あのオヤジはステキなのか?」



「どうって・・・・あの」


コイツ何モジモジしてやがるんだ。顔、真っ赤だし気持ちワル。



「キスケさんは・・・キスケさんは・・」





ボカッッ!!!




何だか無性に腹が立ってきたんで 一発殴っておいた。ふん





そーいやぁ、さんはどうして店長と結婚しちゃったんだろうな。


あの人お人好しってゆーか、馬鹿みたいに素直だから


店長の口車にコロッと騙されちまったんだろう。


うん、そうだきっと。



いつか似たような事をテッサイに聞いたこともあったけど。


「店長は素晴らしいお方です。そして殿もまた素晴らしい女性です」

と、キッパリ言い切られたしな。しかも大声で。


















そんな事を考えていると、店長が俺を呼ぶ声がした。


返事をして店先に行くと、いつものだらしない格好。


俺はこの際だから、店長に意見してみることにした。





「なぁ店長、前から思ってたんだけどさー」


「ん? 何ッスかぁ?」


「店にいる時はもうちょっとビシッとした格好すればいいのに。売り上げも違うんだろ?」


すると店長は



「いーえ。コレがいいんすよぉ」



なんて、扇子をパタパタさせながら、わけわかんねぇ事を言う。


下駄だろ? 帽子はまぁアレとして、髭くらい剃るのが男の身だしなみじゃん。


何度か見たことはあるけど、店長がスーツを着た時は


男の俺から見ても案外 イケテルと思ったのに・・



「・・・そんなもんか?」










「そうッス。だって、まさかこんな胡散臭い男が実は

ドハンサムだなんて、誰も思わないでしょ」






ゲ・・・・自分のことハンサムだってよ。

しかも「ド」をつけてるぜ。






「いつもビシッとしてたんじゃあ、慣れちゃいますからねぇ」


って、ホントは面倒臭えだけじゃないのか









「まだジン太にはわからないでしょうねぇ。

えーとアレですよ、アレ・・・・ギャップ萌え?」



「・・・・・。」 





萌えって何だよ 萌えって

しかも語尾、疑問系かよ









またテレビで聞いた言葉でも使ったんだろうな。


それを証拠にちょっと満足気な顔してる。













そして俺は確信する。


店長が正真正銘の オヤジだという事を。


テッサイも雨も、そして一護のヤローも、何だか良くわかんねぇ奴だらけだ。

















空座町の未来は、やっぱり俺の肩にかかってる。


たぶん・・・・な























つづく・・・


(店長は確信犯。ジン太も平和です)