夜中に甘い物を食べるって、何だか悪い事をしてるような変な特別感がある。

しかもこのお菓子。餡子の中に苺が入ってるなんて、これを考えた人はきっと天才ね

部屋で一人こっそりと 楽しみにしていた大福を味わってる時だった。

背中にねっとりとした視線を感じ、一瞬口の動きが止まる。

でもこれは知った気配、たぶん彼だろうと思った私は気付かぬ振りをした。

そして二つ目の大福を口に運んだ時





・・・」




上から声がして顔を上げると、キュウゾウの顔が逆さに映った。

別に驚きはしない。さっきから気配は感じていたし、彼と私は恋仲なんだ。

ただ、音も無く後ろに立たれたことに、流石だなんて思ったりはしたけど




「キュウゾウ・・・?」


彼の視線は真っ直ぐに 私の口元に注がれている。




「・・うまそうだな」


「キュウゾウも欲しいの?」


「・・・・。」





返事は無いけど彼の視線は私の口元に釘付けだ。欲しいに決まってる。

でもこれが最後の一つなわけで、私の食べかけなんて差し出したら怒るかも知れない。

けど、いきなり来るキュウゾウが悪いんだよ、とかそんな事を考えてる間に彼は 

ちゅ、と私の頭に口付けてから 抱きかかえるようにして私の後ろに座った。






「ね、どうしたの?」



「食いたくなった」



あ、やっぱり。キュウゾウって意外と甘いもの好きだもんね。
でも目の前にある大福は・・・



「ごめんね。これで最後なの・・」


機嫌を伺うように表情を見るけど、顔色一つ変えてない。

残念なら残念そうな顔をすればいいのに。全く読めない人なんだから。



「早く食せ」



ん?



わけはわからないけど、そう言われた私は彼の気が変わらないうちにと、残りの大福を頬張った。

じっと見られているのが照れくさくて、顔を気持ち背けるけど

キュウゾウの顔は私の襟元に張り付いたまま。

自分の喉がごくりと鳴るのが、キュウゾウに伝わってると思うと恥ずかしくなった。




「ご、ご馳走さま」

指を軽く拭いて唇に付いた白い粉を ぺろりと舐め取っているとキュウゾウは


「俺の番だな」


といきなり意味深な言葉を発して、私の脇に腕を入れて後ろからぎゅうと抱しめてきた。


肩に乗せられたキュウゾウの顎がくすぐったい。

思わず体を捩ると、クスッと小さく笑う彼の声がまた耳元をくすぐる。

私の体はすっぽりとキュウゾウの腕の中に納まってしまった。

ぐいぐいと腰を引き寄せられて下半身が密着すると

お尻の辺りに何か硬いモノが当たった。




「キュウゾウ?・・」



まじまじと顔を覗くと、キュウゾウは少し照れたように視線を逸らす。

その仕草がなんだか可愛らしく見えてしまった。



「あれ・・・?」


「・・・そうだ」


「えっ・・ちょっと待って」


「もう遅い」






一応抵抗してみるが所詮、男の力になど敵うわけも無く。

そもそも後ろから羽交い絞めにされては、どうにも身動きが取れない。


私は見事に向きを変えられて 部屋の景色がゆっくり回転したかと思うと


背中には畳の感触と 視界には天井 


それと・・・薄く笑った彼の顔



何も言わずに舌を入れられて 思わず身を捩る私の懐に手を滑り込ませて

その膨らみを揉み出した。なんという素早さ。




「っ・・やだ・・んっ」



思わず声が漏れる。くすぐったくて気持ち良くて、ちょっと悔しい。

そんな私の反応を愉しむように、キュウゾウの手は動きを止めない。

そっと舌を抜いて私の首筋から下の方へするすると降りていく唇に

私の体は一気に熱を持ち 頭の中は朦朧としてくる。



薄く開けた目に映るのはキュウゾウの髪の色。

捲られた着物の裾から ひんやりとした空気が足を撫でる。





「今夜は特別に甘いな」






そう言って自分の唇を舐めたキュウゾウの顔を見て


私は彼のさっきの言葉の意味を ようやく理解した。


キュウゾウはご機嫌だ。



わかり難いというか、わかり易いというか

いつも唐突で強引な彼に振り回されている私。

ムードも何もあったもんじゃない。

だけど、今、間違いなくキュウゾウに欲されているのだから、それは幸せな事で

そんな幸せをくれるキュウゾウが やっぱり大好きなわけで・・・


私は彼の背中にやんわりと手を回すと ゆっくりと目を閉じた。









速攻愛模様