本日の担当     喜助














最近暖かくなってきたッスねぇ。もう春も近いんでしょう。


誰も彼もが新しいことに胸を膨らませる春。

新しいことも良いことですが、変わらないこともいいもんっすよ。

うちは相変らずの毎日ですがね

まぁそれでも些細なことに喜んだり後悔したり。

















今更言うまでも無いんですが

朝が苦手なアタシは いつもに起こしてもらってます。


ところがその日は、よりアタシの方が早く目が覚めましてね。


まだ薄暗い部屋の中、 隣には愛しい奥さんの寝顔。


こんな事は滅多に無いんで、ちょっと得をした気持ちでした。


そっと髪を触ったり、匂いを嗅いでみたり。


あんまり可愛いんで、頬をつんつん、なんて突いたりして。


いやそんな、変態じみてるだなんて

愛故ってやつッスよ。



起こすのは勿体無くてね、アタシは肩肘を立て枕にしたまま 

暫くそうして の寝顔を眺めていたんです。



















台所の方からカタカタと音がする。

ふと見ると目の前には白いシーツ・・・?

どうやらアタシはの顔を見ながら、また眠っていたようでした。


アイタタ・・・

痺れてしまった腕をさすりながら ゆっくりと蒲団から出る。

居間へ行くと ちょうど朝食を運ぶと会いました。




「おはよ、

「・・・おはよぅ・・」



いつもなら頬っぺたを抓りたくなるような 愛くるしい顔で笑う


なんとなく様子がおかしい。


は怒っているというより、アタシを避けているかのようでした。


何かしたっけ? と、考えてみてもわかりません。


そんな調子のまま、いつもよりお喋りの少ない食事時間に。












急に箸を止めたと思えば、ふっと顔を上げた



「あの・・・喜助さん?」

「ぅん?」

「夢ってどうしてみるのかしら」


と、そんな事を言い出しました。




「夢? どうかしたの?」


「うん、ちょっと妙な夢を見て、それで」


「うーん、そうだねぇ。それについては色々な学説もあるみたいだけど
どれが真実かは、アタシにもわからないっすねぇ」



しょんぼりとする




「んでも、その人の経験や環境が影響するとは良くいいますねぇ」


「うん、経験ってのはわかるわ。・・・環境って?」



「んー例えば、寝ている時に揺さぶられれば、地震に遭う夢を見たり、
時計のアラームの音で、駅のホームにいる夢をみたり、とか」


「あぁ、その時の状況がって意味ですね」


「そう。 あと、願望とかね」


「願望?」

「うん」


途端に下を向いてしまった


気になったアタシは勿論聞きだそうとしました。




「どんな夢だったんすか?」


「ううん。あんまり覚えて無い、から・・」


「けど、そんなに気にしてるじゃないっすか。誰か出てきたの?」




「あ、えっと・・・黒崎さん、が」


「ん?黒崎サン?」


「いえ、一護君じゃなくて、お父さんの方」




何とも意外な登場人物に、少し驚きはしましたが

まぁ、面識はあるんだから、そんな事もあるだろう。



「で?」


「いえ・・・何ていうか普通に話しを・・・それだけです」



「んー? それでそんなに気にしますかねぇ、普通」




困ったように難しい表情をする

言い辛いことなら最初から黙っていればいいものを

それでもついポロッと口にしてしまう。

そんな純粋なところはの可愛さでもあるんですが。




アタシがそのまま聞き流すわけ、無いっすよねぇ。






「ごめんなさい。もう忘れちゃった」


それだけ言うと は空になったお皿を持って、台所の方へ行ってしまいました。


まるで逃げ出すようにね。




残されたアタシはどうにも納得がいきません。


そのうちガチャガチャと、食器を洗う音が聞こえてきたんですが


いつもは滑らかなその音すら ぎこちない。







「ねぇ


「はい?」







「まさか、キスでもされたとか?」











ガッシャーーン!!!









あぁ図星かぁ・・・・







でも・・・ちょっと待って下さいよ。

いくら夢とはいえ、自分の奥さんが他の男にキスなんてされて

夫としては気分が悪くなるってもんですよね。




「されたんっすね・・」


「ううん。違う。違いますー!」





慌てるは 可愛かったんですが

やっぱりアタシは何だか面白くなくて。


それ以上は何も言わず、さっさと縁側に移動し煙草に火をつけました。







遠慮がちに 横に置かれたお茶。

アタシに少し距離を置いて座る




ゆっくりと振り向いてその顔を見れば

は少しだけ苦笑いを浮かべたものの

予想外に黙って微笑むアタシに、少し安心したようでした。




まぁなんていうか、夢なんだし。そうは思っていたけど。


ちょうどいいから、アタシはわざと不機嫌になることにしました。



冷めた視線での顔を見つめて 一言












「浮気者・・・」













真っ青になったの可愛いこと!



アタシはそのまま そっぽを向いて煙草を吸い始めました。








そして、思いだしたんです!







の寝顔を眺めてる時


あんまり可愛いもんで


チューしたんだっけ・・・












でもまさか一心サンが出てるなんて、思いもしませんからねぇ。



そんな絶妙なタイミングで、彼に横取りされるとは・・















不機嫌になった手前、 どうしようか考えましたが


アタシの仕業だって、白状しましたよ? モチロン





相手を誤解されたまんまじゃあ、困りますからねぇ。
























つづく・・・



(実体験ネタ!笑)