きらり  きらり


眩しくて閉じていた瞼を怖々と開けると


反射した光がゆらゆらと美しく輝いていた


その光達を見下ろせば 水面に映る太陽が


透明な光を放ち、きらり揺れている






私は、海に来ていた





先程までの苦しさがまるで嘘のように、体が軽い


目の前に、風に流され海面を滑るビーチボールが見えた


あ・・流されちゃう


だけどそれを掴もうと伸ばした私の手は何故か


するりとボールをすり抜けてしまった





こんなこと、前にもあったような?



記憶を辿る




私の手・・・


じっと見つめて


私の体・・・


ふわり 漂う いつもより 軽く






















ちゃん、ちゃん」



声のする方向に視線を送ると


あの人が立っていた



前に夢で会った彼・・・いや夢だという確信も無い


あの夜、私の部屋の窓辺に座っていた人


こんな所に人?


だけどそんな事も、一瞬にして忘れてしまうほどに


その綺麗な髪の色と痩身の体と 


今時珍しいほど和装姿の似合う貴方を見つけて


私の心臓はとても忙しく動いた


一目惚れでもしたかのような、軽い眩暈と胸の痛み


この世の者とは思えない雰囲気と儚さに


ただ、じっと見つめることしか出来なかった私



夢を見てるんだ


きっとそう


取り合えず部屋を出よう、そう思い一歩退き

気にしながらも背中を向けかけた時




「もうじきやなぁ・・・」


彼から発せられる声に驚き、慌てて振り返る


「貴方、誰?」


「ボクか?市丸ギン、言うんよ。覚えとってな、ちゃん」


これは夢? この人は何故私のことを?


間近にいるはずなのに、気配さえも感じる事ができず


まるで幻のように薄くゆらり揺れて


何となく伸ばした私の手は、するりとすり抜けてしまった


彼に触れることは出来なかった




「まだ駄目やねん、もうじきやからそれまで待っといて」



「どういう意味?」


そう問うと彼はとても優しい目をして微笑んだ



「早う会いたいなぁ」


と、瞬間ゾクリと冷たいものが背筋を走った








あの時の彼だ



















ゆらゆらと輝く光の中で


どこからか生まれてくる安心感と


懐かしいような胸のトキメキ


眩しくて翳した手のひらを、ついと取られてハッとする


今度はしっかりと感触があった


確かめるように握り返すと、ふと笑う



「もうボクに触れるんよ」


意味はわからない



「市丸ギン・・・さん?」


「よう覚えとったなぁ。ええ子や、ちゃん」








「ずっとちゃんを待ってたんよボク。
早う会いとうて、待ちきれんと現世に会いに行ってしもうたことは
あっちに行ったら、内緒にしといてや」



「あっち?」



「そやなぁ、死神にはさせんと、ボクが囲ったるよ」


「私・・・?」



「堪忍な・・・ちょいと焦ってしもうたわ」






海と空の間で



私の体は




ふわり 漂う いつもより 軽く













「これからはずっと一緒におれるんよ」




ウキウキと子供の様に目を輝かせる貴方














目の前に現れた扉は何処へ














海と空の間













魂葬!!
水難事故には注意!ま、ギンなら〜(いいのか!)