本日の担当   喜助















つい先日の話です。

それはとても良く晴れた夕時のこと

商店から帰ると、玄関横のポストの中に綺麗なカードが入ってました。


手にとって見ると、宛名はうちの奥さん。

差出人は アタシの知らない女性の名前。












「ただいま〜」


「お帰りなさぁい」



玄関でニコニコとしているにそのカードを渡すと


アタシは居間へ行き、羽織を脱いで 帽子をフックに掛けました。
(部屋の中では帽子を脱がないと、奥さんに叱られるんすよ)





すると、すぐ後ろにが着いて来ていましてね。


少し興奮したような 嬉しそうな声で


「喜助さん、私のお友達が結婚するんですって」と


そりゃあもう、可愛らしい顔で言うんすよ。




「へぇ〜それはおめでたいッスね」



とは言ったものの 特に自分は知り合いでも無く

それで会話は終わったと思っていたんですが



何か言いたげに モジモジとしていた

上目使いにアタシの顔を見上げては 遠慮がちに言ったんです。



「あの、、、是非ご夫婦でと、喜助さんの名前も書いてあるの」








そういえばピンク色のそのカードには、浮き彫りになった白い教会の絵が


なるほど、結婚式の招待状でしたか。



どれ? と覗き込んだカードに書いてある日付は 平日の昼間。

が心配するのもわかります。

商店にはアタシがいないと、何かと不便っすからねぇ。



いや、しかし・・・・


夫婦で招待されているものに、一人を行かせるなんて


が寂しい思いをするに違いない。


アタシが不在となるとこれはもう、代役でも立てるしか














「大丈夫、二人で出席しましょ」


「ほんと?喜助さん!でも、商店のみんなに悪くないかしら」



「なぁに、心配いりませんよ」




「黒崎サンが、いるじゃぁ無いッスか♪」





「黒崎くん?」




不思議そうな顔をするに もっともらしい説明を。


以前の恩返しといっても、きっと彼は何も受け取りはしない。

しかし彼も学生、きっと自由になるお金は少ないでしょう。

それなら時間のある夏休みのアルバイトとして

商店の一日店長を頼もうじゃないかと ―









「バイト代は はずんであげるつもりっすよ?」


「喜助さんっ!素敵なアイデアね」


は言うなり アタシに抱きついてきました。




















食事が終わるとはすぐに寝室に飛んでいき

ふんふんと機嫌の良さそうな鼻唄を。

よほど嬉しいんだろうと アタシまで顔がほころびました。


しかし


寝室から中々出てこない


何をしているんだろうと 部屋を覗きに行くと


アタシの羽織と作務衣を・・


いそいそと風呂敷に包んでいるじゃあないっすか!





? いったい・・・」


「あ、喜助さんの羽織と作務衣ですけど?」


「いや、それはわかりますけどね?」


「綺麗にアイロンかけてますから」


「いや、そうじゃなくて、まさかこれを・・・」




「だって、浦原商店といえば、喜助さんでしょう?

喜助さんといえば、この衣装がトレードマークじゃないですか」

と、さも当然のように言う。





「あの、、変ですか?」



「いや・・・」



「黒崎くん、嫌がるかしら?」



「いやいや、きっと喜ぶでしょう」



そう言うと は天使のような微笑みを浮かべ。


黒々としたアタシの腹の中とは違い

その瞳は眩しいぐらいに澄んでいて






こんな目で見られては、黒崎サンも断れるわけないでしょう。






まさかこんな展開になるとは、思いもしませんでしたが


黒崎サン


アタシの代わりに一日店長 やってもらいましょうか?














引き出しからカメラを出し、フィルムの残量を確認している


恩返しの内容は、どうやらアタシの出る幕は無かったようで。


さすがは、アタシの奥さんっすねと


あの時はつくづく感心したものです。




























つづく・・・


(奥さま恐るべし!)