朝の光に包まれた部屋の中に、騒がしい音楽が鳴り響く。


手を伸ばしてスイッチを切ると 流行の歌謡曲は

ちょうどの好きなフレーズの手前でプツンと切れた。

朝の苦手なアタシが、アラームを一番に止めて起きるなんて

昔の友人が聞いたら、さぞ驚くことだろう。

いや、大笑いされるかも知れません。


ケド・・・これが今のアタシの生活

と二人の慌しい朝の始まり

















隣で幸せそうな顔をして寝ているのは 奥さんの

彼女は朝が大の苦手。苦手と言えばアタシだって同じだが

彼女には低血圧という、きちんとした理由がある。

ただ面倒だという理由じゃあ、勝てるわけもなく

こうして毎朝 奥さんを起こすのがアタシの役目。




本音を言うとアタシだって、このままこの可愛い寝顔の横で

いつまでも寝ていたいけれど・・・





「喜助さんっ!どーして起こしてくれなかったの?

あーん、学校に遅刻しちゃう!」


って、そりゃあもう、大変なわけで





仕方なく そっと手を伸ばすと 

髪から顔にするすると指を這わせて 唇に触れ、声を掛ける。




、もう朝だよ」



「・・・・ぅ・・ん」


可愛いアタシの奥さんは まだ夢の中の様子。



ちゃ〜ん、もう起きないと。遅刻するっすよー」



「・・・・んん」


枕に顔を擦りつけて なんとも幸せそうな


ふぅと溜息を吐きつつも、その無防備な寝顔に 顔は緩む。






これじゃぁ、強行手段に出るしか無さそうだ。





そろっと布団をめくって

肌蹴た胸元からチラリと覗く白い肌に 顔を埋め

チロッと舌を這わせると ・・ ほら








「ひゃっ!!」


びくんと体が動いて はやっと目を覚ます。


「おはよ、


「おはよう・・・もーー朝っぱらからっ」


が起きないからっすよん」




「ん〜 だって昨夜の喜助さん・・・」


言い出しかけて、慌てて口を隠し言葉を止める。




「おや?朝からそんなこと思い出して・・・
      いやらしいのはどっちですかねぇ」


「ばかっ」




ゴソゴソと布団から出て、その場で大胆に寝巻きを脱ぎだす 

当然のようにちょっかいを出して、また怒られる アタシ。

ちょっと前までは、一緒に風呂に入る事すら 恥ずかしがっていたくせに

色々と教えすぎたかなぁと、また笑みが漏れる。










「ねぇ。学校なんて休んじゃいましょっか?」


「そういう訳にはいかないの」


「どうして?お勉強ならアタシが・・・」


「喜助さんのお勉強は、夜のお勉強でしょ!」


「・・・図星っす。でもこれは大事なことでー」

「それならもう」


「もう? まだまだ教えきれて無いんスけどねぇ」


「ばかっ」


あぁっ、つれない・・・・ 本日2回目の莫迦呼ばわり。


よよと泣き崩れるアタシを すっかり無視して

はすっくと布団から出ると、パタパタと部屋を動き回る。



アタシはそんなの様子を 布団の中から呑気に眺める。

この時間は案外いいもので

次に目の前に現れる時は、 眩しい制服姿の


「喜助さ〜ん。ご飯できたよ〜」


と、アタシを呼ぶ。


この台詞は譲れない アタシの拘り

朝起こすのは自分でも、食事に呼ぶのはアナタ、という二人の約束。














ぷくぷくと音を立てる珈琲メーカーと

TVから流れる朝のニュースは

紛れもない現実の朝を映し出す




「時間が無くて、今日もトーストだけど・・」


「あ〜 この頃ずっと洋食っすねぇ」


「ごめんっ!その代わり夕飯は頑張るからね」


可愛らしく笑うにに、ついまた手を出したくなる衝動をぐっと堪えて



「夕飯の後も、頑張ってもらいますよ」


と、からかうようにを見つめて・・


少し頬を染めつつも、膨れる彼女の表情に満足する。













明るい光が差し込む部屋で

早起きして、こうして笑いながら食事をする

お揃いのカップで、カフェオレを飲んでいるアタシを




誰が想像できただろうか







嘘のような幸せ