胸の内 (恋次ver)
「いいか?男はなぁ。常に女の三歩前を歩くもんだぜ」
いい感じに酔いも回ってきたところで 鼻息も荒く先輩が言う
公私共に陰ながら尊敬してる一角さんは 常日頃から声がでけえ
こう見えて一角さんは面倒見のいい人で
稽古が終わった後なんかによくこうやって 馴染みの居酒屋へ誘ってくれる
飲み屋での話題なんて、真面目に話し出したとしても結局は女の話になるわけで
しかも最近は、俺に女が出来たって事で 一角さんは何かとその話題を振ってくる
やっぱし興味あんのかねぇ 彼女が居たとしても
まぁ男だしな、それに俺のは 言っちゃあ何だが すげぇ上玉だ
それに一角さんはどうも 俺達を応援してくれてるようで
さっきから 女の扱い方とか、上手くやるコツだとか
色々と聞かせてくれてんだけど
「どんな我儘言ったってなぁ、こう、ガツーンと・・」
「やー 我儘は言われたこと無いっす・・」
「そ、そっか?」
「はい、たぶん」
「女ってのは意地っ張りだからな、例え素直じゃ無かったとしてもだ・・」
「いやー それが吃驚するほど素直なんすよ」
どうも話が噛み合わねぇ
確か一角さんの彼女は、女の身でありながら豪傑で
俺も一目置いているほどの人だったりする それに案外・・ うん、美人だよなぁ
確か俺がまだ新入りだった頃 ―
後から思いっきり髪を引っ張られて
「アンタ、髪、伸ばしてるの? 男は短髪に限るわよ」って言われたっけ
その後一角さんの彼女だと聞かされて 妙に納得したもんだ(短髪ってか、なぁ
サバサバとして、いい人だとは思うけど・・・
俺はもうちょっと、こう
ま、いっか
人にはそれぞれ趣味ってもんがあるからな
だが、流石にさっきの受け答えはまずかったのか
一角さんは 突然黙ってしまって 少し焦った俺
そこで話題を変えてみた
あの二人が喧嘩なんてしたら、きっとヤバイって
前々からそう思ってたから、この際ズバリとな
「まぁ確かに血を見ることもあるけどよ、それだけじゃねぇぞ?」
気の強い彼女と血の気の多い先輩のことだ
案の定、喧嘩なんて日常茶飯時らしい
そこでニヤリと口角を上げた一角さんは 俺の肩をぐいぐいとそして
耳を引っ張ってこそこそ
「なんたって、その気も腕も強い女がよぉ、自分の前では身も心も女になる・・・
たまんねぇじゃねぇか」と
スゲエ嬉しそうに言う
「夜は、って意味っすよね?」
「当ったりめぇよ」
「たまんないっすね」
二人して豪快に笑い合った。 一角さんってやっぱ面白え
一角さんの言うことは、俺も常日頃から思ってることだ
「一角さん、やっぱ女は三歩下がって、っすよね」
そう言うと、 一角さんは嬉しそうに俺の肩をど突いて
「わかってるじゃねぇの」 とまた豪快に笑った
「あら〜、一角。今日も飲んでたんだ」
後から凛とした声がして視線をやると 俺のが一角さんの彼女の後ろで
こっちに可愛い笑顔を見せてやがる
今日はついてるぜ
すかさず片手を上げて「よぅ」と挨拶すると
のヤツ、真っ赤になって、可愛いったらねぇ
「なんだ、お前らも酒かよ」 と一角さん
「えぇ、ちょうど良かったわ。隣いい?」
一角さんの彼女の気遣いなのか、偶然なのかはわかんねぇが
当然俺達は一緒に飲む事になった
そして俺らは それぞれの女を横に 向かい合わせに座って飲み出した
さっきからペースを下げない一角さんの彼女に 半分ビビりながらも
隣に座ったは かいがいしく俺の世話なんてやいちゃって
「恋次、飲みすぎないでね。体が心配だもん」
可愛いこと言ってくれるぜ
「おぅ、わかってるって」
心配性だなぁは
「お酒弱いの、私・・明日、ちゃんと起きられるかしら・・」
「俺が迎えに行ってやるよ、任せとけって」
「え〜でも凄く遠いし、うち・・・」
「平気だって、全然平気!」
こんな風に甘えられるのも、男としてはたまんねぇ ってか?
そしてチラッと一角さんを見る
一角さんときたら、さっきから俺らの方ばっか気にして
もしかしたら羨ましいとか、な
そういう一角さん達は 長年付き合ってるだけあってか
特に干渉もしねぇし、まるで男同士みたい、っつたら悪いか
「ねぇねぇ一角〜」
「ん?」
「今日は勿論 一角の奢りよねぇ〜」
「は?何でそうなんだ。お前が一番飲んでるじゃねぇか」
「だって、可愛い後輩が二人もいるのよ?まさかこの場で割り勘なんてねぇ」
なんか、上手くね? 流石一角さんの彼女だけあるつーか
「あー まぁそうだな。おうよ、任しとけ」
そして一際大きな声で言った
「よぉし! みんな飲め飲め! 俺の奢りだからよぅ」
「いぇーい、一角男前〜!」
って、息もピッタリ。 おしどり夫婦
でも、待てよ? もしかしたら・・いや やっぱ
これって尻に敷かれてるよな?
「どんな我儘言ったってなぁ、こう、ガツーンと・・」って
フッ・・・ 一角さん、あんた
そして俺は至極 愉快な気分になった
どう見たって 俺の方が男らしいぜ
まぁ それは言えねぇけどな
「まぁ飲めや、阿散井」
機嫌良く 酌なんてしてくれる先輩に
「ご馳走になりますっ」
一角さん、応援してるっす、胸の内でそう呟き 酌を受けた
END
同軸で一角ver有り GO
男らしさと可愛さと・・・愛すべきお二人さんv